豊かな自然や歴史文化に触れられる!武田信玄ゆかりの水の里、甲斐大泉・甲斐小泉をご紹介

山梨 #展望台 #歴史 #自然 #観光
2024.04.26

山梨県北杜市は北巨摩郡(きたこまぐん)と呼ばれ、清里のある高根町、長坂町、小淵沢町、須玉町、白州町、武川村、明野村、大泉村の8町村で構成されていました。

2004年には小淵沢を除く7町村が合併し、北杜市に。遅れて2006年には小淵沢町も編入し、現在の北杜市となったのです。今回はこの旧町村のうち、八ヶ岳の南麓に位置する旧大泉町、甲斐大泉・甲斐小泉をご紹介します。

 

甲斐小泉駅周辺の武田信玄遺跡を巡る

JR小海線甲斐小泉駅周辺には「信玄棒道」や「三分一湧水」など、武田信玄が関わったとされる遺跡が多く残っています。ここでは、甲斐小泉駅周辺の見どころをご紹介します。

信玄が作った軍用道路「信玄棒道」

「棒道(ぼうみち)」とは、武田信玄が信濃(長野県)方面を攻めるために作った軍用道路です。甲府方面から長野県へ棒のようにまっすぐ作られていることから、「棒道」または「信玄棒道」と呼ばれています。

江戸時代に甲斐(山梨県)のことを綴った「甲斐国志」には3本作られたと書かれていますが、現在確認できているのは一番北側を通る上の棒道だけです。

中の棒道・下の棒道の大体の位置は予測されていますが、はっきりとは分かっていません。

上の棒道は、信玄の本拠地甲府から若神子(中央自動車道須玉IC付近)・小荒間(甲斐小泉駅付近)を通って、今の長野県富士見町・蓼科・大門峠を越えて長野盆地に入るルートです。

上の棒道のうち、甲斐大泉・小泉・小淵沢部分には、うっそうとした雑木林を切り開いた道が当時のままに残っています。

「棒道」は武田時代には軍用道路として使われていたのですが、江戸時代に入ってからは多くの旅人が行き交うようになりました。

沿道の村人たちはここを通る旅人のために安全を祈願し、また道案内として一町(109m)間隔に観音像を置いたそうです。現在の上の棒道は自然散策路になっていて、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選定されています。

信玄棒道ウォーキングマップはJR小淵沢駅観光案内所で配布されていますが、下記URLからもダウンロードが可能です。

URL:https://www.kobuchisawa.com/walking-boumichi.html

信玄棒道 詳細情報

詳細情報

料金
散策無料
休業日
散策自由
営業時間
散策自由
住所
〒408-0044 山梨県北杜市小淵沢町
電話
0551-36-3288(小淵沢観光案内所)
アクセス
・電車
小淵沢からJR中央本線で約2時間

・車
中央道小淵沢ICから15分、長坂ICから20分
駐車場

公式ホームページ

https://www.hokuto-kanko.jp/guide/%e4%bf%a1%e7%8e%84%e6%a3%92%e9%81%93

※情報は2024年4月時点のものです。最新情報は、ホームページをご参照ください。

信玄が村上一族を迎え撃った「小荒間古戦場跡」

武田信玄は「棒道」を通って信濃へ遠征して、多くの戦いに挑みました。その戦場はほとんどが「川中島の合戦」のような信濃でした。

甲斐(山梨県)側では「棒道」にも近い小荒間で合戦があったといわれています。小荒間古戦場跡は、甲斐小泉駅近くにあります。

この戦場跡は、1540年2月に信濃を本拠とする武将村上義清(むらかみよしきよ)が甲斐に攻め入り、迎え撃った信玄の勝利した時のもの。「甲斐国志」にも載っているのですが、その後の調査でこの戦いの証拠はほとんど見つかっておらず、幻の古戦場とも言われています。

小荒間古戦場 詳細情報

詳細情報

料金
散策無料
休業日
散策自由
営業時間
散策自由
住所
〒408-0031 山梨県北杜市長坂町小荒間
電話
0551-42-1375
アクセス
・電車&バス
JR小海線甲斐小泉駅から徒歩で約2分

・車
中央自動車道須玉ICから約20分
駐車場

公式ホームページ

https://rekishinomichi-yamanashi.jp/ja/spot/4-84.html

※情報は2024年4月時点のものです。最新情報は、ホームページをご参照ください。

武田家の狼煙台があった「観音平」

八ヶ岳連峰の最も南にある編笠山(あみがさやま=標高2524m)の中腹1560mに位置する「観音平(かんのんだいら)」は、南アルプスから富士山まで望める展望台です。

この展望台は車でも登ることができる、人気の観光地。

平安時代後期の「観世音矢の堂(かんぜのんやのどう)」伝説によると、武田氏の先祖といわれている「甲斐源氏(かいげんじ)」の祖、源義光(新羅三郎義光=しんらさぶろうよしみつ)が観世音菩薩を安置し、白鷹の矢を献じて「矢の堂」を建て、武運長久を願ったといわれています。

源義光から数えて4代目の源信義が巨摩郡(こまぐん)武田郷(現在の山梨県韮山市神山町武田)に居を構え、武田姓を名乗ったことから甲斐の武田氏が始まりました。

甲斐源氏や武田氏の聖地となった「観音平」は武田信玄も戦いに行く途中に立ち寄り、戦勝祈願をしています。

さらに、「観音平」には、敵の来襲を告げるための狼煙台(のろしだい)が設けられていたといわれています。なお、「矢の堂」は1770年代に焼失しましたが、1781年に現在の北杜市小渕沢に再建されています。

観音平 詳細情報

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料金
散策無料
休業日
散策自由
営業時間
散策自由
住所
〒408-0024 山梨県北杜市小淵沢町10060
電話
0551-42-1351(北杜市観光課)
アクセス
・電車&バス
JR中央本線小淵沢駅からタクシーで約20分、JR小海線甲斐小泉駅からタクシーで約15分

・車
中央自動車道小淵沢ICから約25分
駐車場

公式ホームページ

https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p1_4624.html

※情報は2024年4月時点のものです。最新情報は、ホームページをご参照ください。

農民の水争いを治めた「三分一湧水」

三分一湧水(さんぶいちゆうすい)は、甲斐小泉駅近くにある湧水です。流れの中には、三角形の石柱が置かれています。八ヶ岳山麓は湧き水が多く、古くから農業が盛んでした。

一箇所の湧き水を下流の3つの村で使っていたのですが、その取り分で争い事が絶えませんでした。それを見かねた武田信玄は、平等に水を分けるために湧き水に三角形の石柱を置いて、流れを三方向に分けたといわれています。

総湧水量は日量8500トン。

現在では「日本名水百選」(山梨県北部八ヶ岳南麓湧水群のひとつ)に選ばれていて、農業用水として使用されています。

そんな三分一湧水は、「三分一湧水館」の施設のうちのひとつ。三分一湧水一体は、公園として整備されています。

施設には八ヶ岳南麓にいくつもある湧水の仕組みや水質、歴史、民話などを解説する資料館と、農林産物直売所「そば処 三分一」があります。

そば処 三分一では、八ヶ岳の湧水を使って打った十割そばが人気です。

三分一湧水館 詳細情報

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料金
見学自由
定休日
4月~10月は無休、11月~3月は火曜日
営業時間
【施設】9:00~17:00【そば処 三分一】11:00~15:00
住所
〒408-0031 山梨県北杜市長坂町小荒間292-1
電話
0551-32-0058
アクセス
・電車&バス
JR小海線甲斐小泉駅から徒歩約10分

・車
中央自動車道長坂ICから約20分
駐車場

公式ホームページ

https://www.alps-hs.co.jp/news/2020/227/

※情報は2024年4月時点のものです。最新情報は、ホームページをご参照ください。

山梨県を代表する名水「山梨県北部八ヶ岳南麓湧水群」

三分一湧水をはじめ八ヶ岳南麓には湧水が多く、山梨県北部八ヶ岳南麓湧水群として「日本名水百選」に選ばれています。ここでは50箇所以上ある湧水のうち、三分一湧水以外で比較的簡単に行くことができる湧水を紹介します。

八右衛門伝説が残る「八右衛門出口湧水」

「八右衛門出口湧水」は、甲斐小泉駅から甲斐大泉駅へ向かうドライブウェイ「泉ライン」のすぐ脇にあります。八右衛門出口湧水の歴史は、谷戸八右衛門が山奥で山火事に出くわしたことから始まります。

燃えさかる木の根元に小さな蛇が巻き付いて震えていたので助けてあげたところ、数日後には八右衛門の元に大蛇が現れ、先日助けてもらったお礼にと、一本の楊枝(ようじ)を置いていきました。

この楊枝を地面に刺すと、そこから水が湧き出るとのこと。さっそく試してみると、そこからこんこんと水が湧き出してきたのです。大木の根元から湧き出ている湧水を見ていると、伝説も相まって、自然の恵みの壮大さを感じられますよ。

八右衛門出口湧水 詳細情報

詳細情報

料金
散策無料
休業日
散策自由
営業時間
散策自由
住所
〒409-1502 山梨県北杜市大泉町谷戸(泉ライン沿い)
電話
0551-42-1351(北杜市観光課)
アクセス
・電車&バス
JR小海線甲斐小泉駅から徒歩約20分

・車
中央自動車道小淵沢ICから約20分
駐車場

公式ホームページ

https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p_9613.html

※情報は2024年4月時点のものです。最新情報は、ホームページをご参照ください。

神社の境内から流れ出る「大滝湧水」

「大滝湧水」は北杜市小淵沢にある湧水で、「山梨県北部八ヶ岳南麓湧水群」の中で最も見応えのある湧水です。甲斐小泉・大泉エリアからは外れていますが、中央自動車道小淵沢ICから15分ほど、JR中央本線小淵沢駅からでも徒歩約20分で行くことができます。

湧水は大滝神社境内にあり、木をくりぬいた樋から勢いよく流れ出ています。

総湧水量は日量2万2000トン。周辺の農地やマスの養殖場、釣り公園などで使用されています。

大滝湧水 詳細情報

詳細情報

料金
散策無料
休業日
散策自由
営業時間
散策自由
住所
山梨県北杜市小淵沢町上笹尾2734-2
電話
0551-36-3112
アクセス
・電車&バス
JR中央本線小淵沢駅から徒歩で約20分

・車
中央自動車道小淵沢ICから約15分
駐車場

公式ホームページ

https://www.hokuto-kanko.jp/guide/ootaki_yusui_spring_water

※情報は2024年4月時点のものです。最新情報は、ホームページをご参照ください。

雑木林に願いが込められた「八ヶ岳倶楽部」

八ヶ岳山麓甲斐大泉を紹介するにあたって忘れてはいけないのが「八ヶ岳倶楽部」です。俳優の柳生博さんの自宅兼ギャラリー兼レストランであることから多くのマスメディアで取り上げられているので、ご存知の方もいるかもしれません。ここでは、八ヶ岳倶楽部についてご紹介します。

八ヶ岳によみがえった広葉樹の楽園

八ヶ岳倶楽部は、中央高速道路長坂IC付近から北へまっすぐのびる北杜八ヶ岳公園線の北の端、小淵沢から清里方面へ向かう「八ヶ岳公園ライン」との交差点にほど近い標高1360メートルのところにあります。

柳生博さんが大泉に居を移したのが1976年。八ヶ岳山麓が大好きだった博さんでしたが、ひとつ気に入らないことがありました。

それは、八ヶ岳山麓一帯のほとんどがスギやカラマツの針葉樹林になっていたことです。本来あるべきブナやカエデなどの落葉広葉樹が広がる森、いわゆる雑木林がまったくありません。

落葉広葉樹は森を豊かにし、その保水力で鉄砲水などの災害から人々を守ってくれます。秋にはきれいな紅葉が見られます。

しかし、かつての日本はその木を切って建築用のスギなどを植林する政策を推し進めました。その後、木があまり必要のない時代になって、今度はその森をほったらかしにしてしまったのです。

そんなに気に入らないのなら、ここには住まないと考えるのが普通だと思うのですが、博さんは違っていました。

「じゃあ、自分で植えよう」

そう考えた博さんは、敷地にあったスギやマツの大木を伐採し、ブナやカエデなどの木を植え始めました。それから40年あまり、仲間とともに植えた木は1万本にもなるそう。

現在の八ヶ岳倶楽部には、レストラン・ギャラリー・ステージなどがあり、その見事な雑木林にも散策路が設けられていて、自由に散策することができます。

引き継がれる柳生博の思い

かつて八ヶ岳倶楽部へうかがった際、柳生博(2022年没、85歳)さんにお話を聞くことができました。雑木林も案内していただき、「この木はいつ頃こうやって苦労して植えた」「林の間からカタクリが花を咲かせるんだ」など、楽しそうに話されていました。

現在は次男の宗介さんが後を継ぎ、八ヶ岳倶楽部の変わらぬ姿を守っています。写真のフルーツティーは、当時八ヶ岳倶楽部の中心として活躍されていた今は亡き長男の真吾さん(2015年没、47歳)が作ってくれたものです。

八ヶ岳倶楽部 詳細情報

詳細情報

料金
入場無料
休業日
水曜日(繁忙期は除く)
営業時間
10:00〜17:00(L.O)※冬季は11:00〜16:00(L.O)
住所
〒409-1501 山梨県北杜市大泉町西井出8240-2594
電話
0551-38-3395
アクセス
・電車&バス
JR小海線甲斐大泉駅から徒歩約40分、またはタクシー

・車
中央自動車道長坂ICから北杜八ヶ岳公園線で約20分
駐車場

公式ホームページ

http://www.yatsugatake-club.com/

※情報は2024年4月時点のものです。最新情報は、ホームページをご参照ください。

まとめ

甲斐大泉・甲斐小泉は、武田信玄ゆかりの遺跡も多く残る魅力的なエリアです。この他にも、平山郁夫シルクロード博物館や甲斐大泉温泉パノラマの湯など、見どころが満載。ぜひ一度訪れて、豊かな自然や歴史文化に触れてみてくださいね。