旧中山道と旧甲州街道が分岐する宿場町下諏訪と甲州街道の宿場町上諏訪は、交通の要所として、江戸時代から大いに賑わってきました。
今でも諏訪大社や温泉がある観光地として人気があります。
美しい湖に、諏訪大社の門前町として昔ながらの風情を残す宿場町・下諏訪、温泉を中心とした新しい観光地として人気の上諏訪、そして歴史ある日本酒の蔵が建ち並ぶ甲州街道など観光地としての魅力がいっぱいです。
私も何度も訪れて大好きな諏訪、諏訪大社を中心に諏訪湖周辺の見所をご紹介します。
目次
諏訪大社を中心にした諏訪観光
諏訪湖は夏の花火に冬のワカサギが名物
諏訪湖は周囲15.9kmで全国24位の湖です。
もっと順位は上かと思っていましたが、意外と小さいですね。
流れ込む川は30以上ありますが、流れ出る川は1本だけ。それが天竜川です。
諏訪湖の名産はワカサギ。
特に冬のワカサギ釣りは人気で、湖上に吊いかだ(ドーム船)が浮かびます。
夏の花火大会も盛大で、夏休み期間中は毎日打ち上げられます。
特にお盆の時期に開催される「諏訪湖祭湖上花火大会」は4万発の花火が打ち上がる日本有数の花火大会です。
湖岸から見物しましたが、湖の沖に造られた打ち上げ台から上がる花火は壮観でした。音がまわりの山に響いて他に経験したことがない迫力です。
諏訪大社は諏訪湖周辺にある4つの社の総称
伊勢神宮は内宮(ないくう)、外宮(げくう)の2社を総じて「伊勢神宮」といいますが、諏訪大社は上社本宮(かみしゃほんみや)、上社前宮(まえみゃ)、下社春宮(しもしゃはるみや)、下社秋宮(あきみや)の4社をあわせて「諏訪大社(すわたいしゃ)」と呼びます。
最大の行事は7年ごとの寅(とら)と申(さる)の年に行われる「御柱祭(おんばしらまつり)」でしょう。
4宮の社殿を囲んで立つ4本の巨大な樅(もみ)の木、御柱を建て替える行事です。
直径約1m、長さ17mほどの樅の木を山から切り出し、斜面を滑り下ろし、各お宮まで何キロもの道を人力で曳いていきます。これほど勇壮な神事はほかにはないでしょう。
諏訪大社に共通する御利益は、五穀豊穣、勝負運、縁結びなどです。
諏訪の中心街からは少し離れている「上社本宮」
諏訪大社上社本宮は下諏訪にある下社秋宮から南へ13kmほど、茅野市との市境あたりにあります。
うっそうと茂る原生林の中にいくつかの社殿が建っています。下社から遠いせいか観光客は少なめです。
住所
長野県諏訪市中洲宮山1
諏訪大社の始まりといわれる「上社前宮」
上社本宮から2kmほどのところにあります。住所は茅野市になります。
諏訪大社の中では一番小さな社ですが、諏訪大社の始まりがここと伝わっています。観光客は少なくなっています。
住所
長野県茅野市宮川2030
旧中山道沿いにある「下社春宮」
旧中山道沿い、下社秋宮の北1kmほどのところにあるのが下社春宮です。
秋宮とはまっすぐな道で結ばれており、中間点あたりにある「下馬橋」は下社2社で最も古い建物です。
下諏訪の町中にあり、秋宮とともに参拝客が多く訪れます。
住所
長野県諏訪郡下諏訪町193
下諏訪の中心にあり参拝客の多い「下社秋宮」
下諏訪の中心部、中山道と甲州街道が分岐点近くにあり、4社の中で最も参拝客で賑わっています。
地元以外の人はここだけと勘違いしている人が多いようです。
境内社(境内の中にある小さな神社)に「子安社」があり、“底の抜けたひしゃく”を奉納すると安産になるといわれています。
住所
長野県諏訪郡下諏訪町5828
ちょっと不便な4社めぐり
諏訪大社に4社あるいわれは諏訪大社のオフィシャルホームページでもよく分かりませんでした。
4社参りの路線バスなどの公共交通機関はありません。
自家用車がタクシーでまわる、いくつかの温泉宿、ホテルが運行している4社めぐりバスを利用する(運行している宿に泊まる必要があります)、徒歩で1日かけて回るぐらいしか考えられません。
ちょっと不便ですよね。
諏訪大社と温泉の町下諏訪
旧宿場町の町並みが残る下諏訪
江戸から甲州路を抜ける甲州街道の終点は下諏訪宿。ここで中山道に入り京へ向かいます。
甲州街道と中山道の分岐点だった下諏訪宿は、中山道でも唯一の温泉のある宿場町でした。
分岐点には諏訪大社下社が鎮座し、町は大名や旅人で大いに賑わっていました。
旧中山道沿いを中心に本陣跡や旅館など当時の面影を残す建物や遺跡が残ります。
中山道と甲州街道の分岐点はT字路になっていて、中山道が直角に曲がっています(写真右来てから右へ曲がるのが旧中山道)。
熱っつい下諏訪の湯
下諏訪にはいくつかの源泉があり、さまざまな泉質を楽しめます。
湯量は全体で毎分5100リットルと豊富です。
また共同浴場が9か所あり、気軽に温泉気分を味わえます。
共同浴場のひとつ、「旦過の湯(たんがのゆ)」は湯口温度が52℃と超高温。
湯船の湯も45℃以上あります。
私は足を浸けるだけで諦めましたが、入っていた地元の人は、「毎日入りに来るよ。3分ほどで出るけど、流し場で横になるのがいいんだ」とのこと。
何百年か続いている共同浴場なので、地元ではこれが当たり前なんでしょうね。
大温泉街へと発展した上諏訪
湖畔に温泉宿が建ち並ぶ上諏訪温泉
上諏訪は下諏訪から続く甲州街道の宿場町で、高島城(諏訪氏)の城下町として整備されました。
上諏訪で温泉が発見されたのは1883年(明治16年)。呉服問屋「布半」の当主が掘り当てたといわれています。
「布半」は後に旅籠(はたご)になり現在も営業中です。
上諏訪が温泉として全国に知られるようになったのは、絹織物取引で財をなした片倉財閥が1928年(昭和3年)に諏訪湖畔に建てた社交場「片倉館」(現国の重要文化財)内に温泉浴場を作ってから。
“千人風呂”と呼ばれる大きな浴場で、現在でも日帰り利用ができます。
営業時間
10:00 ~20:00 (受付は19:30まで)
浴場棟2 階休憩室の利用時間
10:00~17:00
食堂オーダー時間
11:00~15:00(ラストオーダーは14:30まで)
休館日
毎月第2・第4火曜日
料金
大人750円、小人450円(3才以上小学生まで)
※情報は2022年5月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。
上諏訪は観光名所の宝庫
諏訪湖沿いに旅館ホテルが建ち並ぶ上諏訪温泉ですが、湖畔にはさまざまな観光スポットがあります。
天守が1970年(昭和45年)に再建された桜の名所「高島城・高島公園」、国の需要文化財「片倉館」、「諏訪湖間欠泉センター」美術館・博物館、酒蔵・味噌蔵など歴史的スポットから文化、レジャー、グルメスポットまでさまざまです。
湖畔の公園には間欠泉センターや足湯
諏訪湖畔には「諏訪湖畔公園」があります。
道路と湖に挟まれた2.5kmの細長い土地を整備したもので、足湯や遊覧船乗り場、芝生広場、間欠泉センターなどがあります。
「諏訪湖間欠泉センター」は、1983年(昭和58年)に温泉掘削中に噴出したもので、当時は高さ50mまで上がったといわれています。
現在は自噴が止まってしまい、圧縮空気を送り込むことにより間欠泉を作り出しています。高さは5mほどで、1日5~6回ほど吹き上がります。
営業時間
4月~9月 9:00~18:00
10月~3月 9:00~17:00
休館日
年中無休
入館料
無料
URL
https://www.city.suwa.lg.jp/site/enjoy/4441.html
※2022年5月時点では、施設機器故障のため当分の間噴出を中止しています。詳しくは公式HPをご確認ください。
ガラス美術館は必見
引用元:信州写真館
諏訪湖畔にはいくつもの美術館・博物館が点在しています。
ガラス美術館は2館あり、上諏訪温泉の中央部にある「北澤美術館」は19世紀末フランスのガラス工芸家エミール・ガレとドーム兄弟、20世紀初頭のルネ・ラリックなどのガラス作品を展示しています。
また「SUWAガラスの里」は美術館、体験工房、ショップ、レストランなどを備えたガラス工芸の総合ミュージアムです。
「SUWAガラスの里美術館」(旧新北澤美術館)はルネ・ラリックの作品を中心に展示する日本最大級のガラス工芸美術館です。
いずれも素晴らしいガラス工芸品が展示されており、諏訪観光の必見スポットです。
ほかにも「諏訪市原田泰治美術館」「サンリツ服部美術館」「諏訪市美術館」「諏訪市博物館」などユニークな展示で知られるミュージアムもあり、時間が許す限り是非訪ねてください。
住所
長野県諏訪市湖岸通り1-13-28
開館時間
4月~9月 9:00~18:00
10月~3月 9:00~17:00
(入館は閉館の30分前まで)
休館日
年中無休(作品入れ替えのための不定休あり)
入館料
大人1,000円、中学生500円、小学生以下:無料
※情報は2022年5月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。
住所
長野県諏訪市豊田2400-7
営業時間
4~9月 10:00~18:00
10~3月 10:00~17:00
定休日
年中無休
入館料
無料(ガラス体験は有料)
SUWAガラスの里の美術館 高校生以上 600円、中学生以下無料
※情報は2022年5月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。
試飲も楽しい甲州街道沿いに建ち並ぶ酒蔵
JR中央本線上諏訪駅近くの甲州街道に、わずか500mの間に5軒の日本酒蔵があります。
「舞姫」「麗人」「本金」「横笛」「真澄」の5蔵で、昔ながらの建物も多く残り、おのおの独自の味わいを競っています。
「酒蔵めぐり」クーポンを買うと5蔵の酒が試飲できます。
信州といえば“味噌”も本場です。上諏訪温泉街の中程に大きな味噌蔵「タケヤ味噌」があります。
工場見学も可能で、隣接する「タケヤ味噌会館」の味噌ソフトは本当においしかったです。もちろん味噌を味見して購入できます。
住所
長野県諏訪市湖岸通り2-3-17
営業時間
9:30~16:30
休館日
年中無休
入館料
無料
工場見学
3日前までに予約
URL
https://www.takeya-miso.co.jp/misokaikan/
※2022年5月時点で、工場見学は新型コロナウイルスの影響により受け入れを停止しています。詳しくは公式HPをご確認ください。
まとめ
諏訪湖は諏訪大社の門前町や宿場町という表情と下諏訪温泉、上諏訪温泉という2つの顔を持つ、信州有数の観光地です。
霧ヶ峰という高原リゾートも近く、1年中楽しめます。
1泊だけでなく是非連泊して諏訪湖を楽しんでください。