東京に残る「江戸」聖地巡礼・城北編

東京 #映画 #時代劇 #都電 #飛鳥山
2022.04.01

時代小説、歌舞伎や時代劇、はたまた落語や浮世絵。日本の伝統文化が再評価されると共に、江戸時代を舞台にした作品群にも注目が集まっています。

そんな作品の多くには、当時の土地やスポットの名前が登場しています。いわゆる『聖地』というわけです。そんな聖地の中で、物語が描かれた当時の面影を今もなお遺している場所をいくつかご紹介します。

今回はまず、江戸市内から見て北、旧中山道と旧日光御成道に挟まれた城北地区を散策してみましょう!

城北の時は静かに流れ行く

巣鴨駅で山手線と交差して北に向かう白山通り。その白山通りは一般に「中山道」と呼ばれていますが、正確には白山通りとほぼ並行する「地蔵通り商店街」が、かつての中山道にあたる道です。また、王子を通って岩槻・幸手に向かう道は、徳川将軍が日光に向かうときに通った「日光御成道」として、五街道に次ぐ交通の要衝になっていました。

今回ご紹介するのはこのふたつの街道に挟まれた地域です。時代小説屈指の名作と言われる池波正太郎の『鬼平犯科帳』にもしばしば登場するこの地域には、関東大震災と第二次大戦の被害を免れた場所も多いので、山手の落ち着いた雰囲気の街並みのそこかしこに、江戸の歴史を髣髴とさせる場所が遺っています。

そんなのんびりした街を象徴するのが、都内で唯一現存する都電・東京さくらトラム(荒川線)です。ここは、時の流れもゆっくりとしているようなイメージがあります。

おなじみの作品に登場する「聖地」

江戸の風情を遺す城北エリア。そんな地域を代表する3つの「聖地」をご紹介しましょう。どれも江戸時代を舞台にした作品がお好きな方なら耳にしたことがあるはずです。

巣鴨・庚申塚は中山道のお休み処

「庚申塚」または「庚申塔」と言われる宗教施設は全国各地にありますが、江戸で庚申塚と言えば、誰もがこの巣鴨の庚申塚(巣鴨猿田彦庚申堂)を思い浮かべたものです。中山道沿いのこの庚申塚のそばには茶屋が多く作られて多くの人の馴染みの場所になったことから、「庚申塚」は安藤広重の浮世絵に描かれ、またこの地の地名にもなりました。

時代劇や時代小説でも、中山道の巣鴨・板橋などの名と共に、庚申塚の名がしばしば登場しています。

「茶屋」によって有名になった巣鴨の庚申塚ですが、現代の巣鴨・庚申塚にも面白い場所があります。東京さくらトラム(都電荒川線)・庚申塚駅のホームにある和風喫茶「いっぷく亭」。ここで有名なおはぎをいただきながら、中山道の旅人たちの憩いの場となったこの地の歴史に想いを馳せるのも一興です。

詳細情報

巣鴨庚申塚(猿田彦大神巣鴨庚申堂)
住所:東京都豊島区巣鴨4-35
アクセス:東京さくらトラム(都電荒川線)庚申塚駅から徒歩約2分

甘味処「いっぷく亭」
住所:東京都豊島区西巣鴨2-32 東京さくらトラム(都電荒川線)庚申塚駅ホーム内
営業時間(2022年1月現在):10:00~18:00 (ラストオーダー 17:30)営業日が不定なので事前のご確認をお勧めします
HP:https://ippukutei.owst.jp
TEL:03-3949-4574

とげぬき地蔵と地蔵通り

巣鴨・高岩寺、通称「とげぬき地蔵」。近年話題の「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる地蔵通り商店街でよく知られるお寺です。数々の物語に登場するこのお寺と商店街ですが、意外に知られていないのが、かつてこのお寺のすぐ近くに大都映画という映画会社の撮影所があり、多くの映画が量産されていたことです。特に時代劇には高岩寺をはじめ、撮影所近隣のお寺も多くロケ地として使われていました。

そんな縁もあってか、2017年、CS放送局『時代劇専門チャンネル』のイベント「時代劇まつり」は地蔵通り商店街とのタイアップで企画され、この地で大々的に開催されました。

詳細情報

高岩寺(とげぬき地蔵)
住所:東京都豊島区巣鴨3-35-2
アクセス:JR・都営地下鉄巣鴨駅から徒歩約7分

大都映画巣鴨撮影所跡
住所:東京都豊島区西巣鴨4-9
アクセス:都営地下鉄西巣鴨駅から徒歩約2分

時代の変遷を見下ろしてきた王子・飛鳥山

JR王子駅を見下ろすような丘陵地・飛鳥山は、時代劇『暴れん坊将軍』や『大岡越前』でおなじみの徳川第八代将軍・徳川吉宗が桜を植樹して整備した人工の景勝地です。間もなく飛鳥山は、春にはお花見、秋には紅葉狩りに多くの人が訪れる観光地となりました。

そんな飛鳥山は吉宗が登場する時代劇だけではなく、多くの作品の舞台となっています。落語なら『花見の仇討ち』『小烏丸』といった、シュールでコミカルな演目に。時代小説では一変して、藤沢周平の珠玉のヒューマンドラマ『飛鳥山』などなど。

当時の飛鳥山のお花見風景は広重など多くの浮世絵にも描かれています。

また、飛鳥山には他にも貴重な歴史遺産がいくつかあります。ひとつは6~7世紀頃に造られたと見られている古代の埋葬施設「飛鳥山古墳群」です。一方、大河ドラマでもおなじみの明治時代の大実業家・渋沢栄一氏の邸宅跡も飛鳥山にあり、現存する書庫や茶室は貴重な重要文化財となっています。そんな、時代の変遷を感じられる不思議なスポットが飛鳥山なのです。

詳細情報

飛鳥山公園
住所:東京都北区王子1-1-3
アクセス:JR王子駅から徒歩約2分 東京さくらトラム(都電荒川線)飛鳥山駅前

まとめ~見どころ一杯の城北地区

今回はテーマとはずれるのでご紹介しませんでしたが、この地域のもうひとつの特徴は、明治・大正時代の近代建築が多く遺されていることです。かつての財閥一族のお屋敷だった西ヶ原の旧古河庭園や、王子の旧大蔵省醸造試験所第一工場などです。飛鳥山公園にも今回少しだけ触れた渋沢邸を含め、いくつかの近代建築が遺されています。

また、この地域には王子駅周辺の昭和レトロスポットや、人気アニメ『鬼滅の刃』ゆかりの神社、地蔵通り商店街のグルメ探索など、いずれ機会を設けてご紹介したい魅力的なスポットが他にたくさんあるのです。

まだまだ語り尽くせない城北地区の魅力。あなただけの聖地を見つけてみてください。