長野県野辺山(のべやま)。八ヶ岳の麓にあり山梨県との県境にある町です。
正式には長野県南佐久郡南牧村(みなみまきむら)野辺山といい、隣接して山梨県北杜市清里があります。
この南牧村は群馬県と長野県の県境にある南牧村(なんもくむら)と同じ字を書き、しかもすぐ近くにあるので、なんとも紛らわしいです。
野辺山はJR線の中で最も標高の高い駅があることで有名です。
またJR小海線の野辺山駅付近の踏切はJR線の標高最高地点となっています。
尚、日本でもっとも高地にある天然温泉露天風呂、「本沢温泉」も同じエリア内です。
今回はそんな野辺山周辺をぶらりします。
目次
最高地点は八ヶ岳一望する踏切
小淵沢から小海線で野辺山へ
JR標高最高地点へは中央本線小淵沢(こぶちざわ)駅から小海線で向かいます。
小海線は小淵沢駅から八ヶ岳の東山麓を走り、しなの鉄道小諸駅までを結ぶ、全長78.9kmのローカル線です。
小淵沢駅の標高は886.7mほどです。
ちなみに、駅のある小淵沢(北杜市小淵沢町)は正式には“こぶちさわ”と読みます。
駅名だけが“こぶちざわ”と濁っているようです。
しかし町名も一般的には“こぶちざわ”と呼ばれており、地元でも呼び方はまちまちなようです。
話は戻り、野辺山駅は小淵沢駅から5駅目です。
しなの鉄道小諸駅からも行けますが、そちらからだと野辺山駅は26駅目になるため、かなり長い旅路になります。
野辺山駅はJR最高地の駅
野辺山駅はJRで最も標高が高いところにある駅です。
標高は1345m67cm(駅前の道標に書かれています)です。
駅を出ると銀河公園があり、蒸気機関車(SL)のC56-96号機が静態保存されています。
元は小海線を走っていたもので、C56は“高原のポニー”と呼ばれていました。
筆者は小学生のころ、小海線のSL復活運転の日に、C56に乗車した思い出があります。
新宿から夜行列車で小淵沢駅に。小淵沢には早朝に着き、C56の引く小海線で野辺山まで乗りました。
3両編成くらいでしたが、車内は満員です。
途中の急坂では登り切れず、いったん後ずさりをして、坂の手前で力をためてから再度登りに挑戦していたのを鮮明に覚えています。
なんとか野辺山に到着して、記念写真などを撮ったのですが、その写真は今となってはどこに行ったかわかりません。
1973年頃の思い出です。
小海線はSLからディーゼル列車(気動車)へ変わり、2007年からはキハE200形というハイブリッド方式の列車が走っています。
この列車は、軽油で動くディーゼルエンジンと、リチウムイオン蓄電池で動くモーターを組み合わせたハイブリッド方式の列車で、当時世界初の鉄道車両として注目されました。
最高地点には道標が立ち、神社も
野辺山駅から2.3kmほど清里方面へ行ったところに踏切があります。
この付近がJR線の標高最高地点です。
歩くと30分くらいかかります。野辺山駅前からタクシーかレンタサイクルが便利です。
標高は1375m。
JR最高地点を表す柱状の木製道標が立っており、踏切の反対側には石碑もあります。
小淵沢駅からは約490mの高低差です。
近くには赤い鳥居の小さな神社、「鉄道神社」があります。
2005年に鉄道マニアで作る「JR最高地点を愛する会」が建立したもので、小海線を走っていたSLの車輪がご神体として祀られています。
車輪は対になっていることから、夫婦円満や縁結びにご利益があるといわれていて、この日も参拝に来ているカップルの姿を見かけました。
鉄道
JR小海線野辺山駅より徒歩で約30分
車
中央自動車道須玉IC、小淵沢ICより清里方面へ約30km
または上信越自動車道佐久ICより清里方面へ約50km
最高地点脇のレストランで休憩タイム
最高地点脇にはその名も「レストラン 最高地点」があります。
最高地点を訪れる観光客は必ずといっていいほど訪れるレストランです。
といっても付近にはここしか休憩できる店はありませんが。
ちょっとした斜面に建っていて、上階(2階?)では手打ちソバやカツ丼、各種定食などがいただけます。
ご主人が打ったというソバは、コシがあって確かに評判通りの味わいでした。
下階(1階?)で買えるソフトクリームも大人気です。
目の前には雄大な八ヶ岳が広がります。
住所
長野県南佐久郡南牧村野辺山214-32
TEL
0267-98-3210
営業時間
11:00~17:00頃(ソバがなくなり次第閉店)
定休日
火曜日(夏季8月は無休)、冬期臨時休業有
※情報は2022年6月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。
野辺山の日本一を訪ねる
日本最大の電波望遠鏡「野辺山天文台」
野辺山天文台(国立天文台野辺山 宇宙電波観測所)は、野辺山駅から徒歩で約40分、高原野菜畑の間を抜けて歩きます。
タクシーかレンタサイクルがおすすめです。
ここは宇宙電波観測所というだけに、宇宙からの超微細な電波を観測するところで、そのための大小のパラボラアンテナがいっぱいあります。
その風景は宇宙基地を連想させます。R2-D2やC-3POが歩いていてもびっくりしません。
パラボラアンテナの中でひときわ目立つのが、「45m電波望遠鏡」です。
口径が45mあり、1982年に設置されてから40年もの間、日本一の電波望遠鏡として数々の宇宙の謎を解き明かしてきました。
ほかにも比較的小さな電波望遠鏡が並ぶ「野辺山ミリ波干渉計」や「太陽電波強度偏波計」など、さまざまなパラボラアンテナが点在しています。
詳しくは現地の解説パネルや天文台のホームページを見てみてください。
「国立天文台野辺山 宇宙電波観測所」詳細情報
住所
長野県南佐久郡南牧村野辺山462-2
TEL
0267-98-4300
見学可能時間
8:30~17:00
料金
無料
休館日
年末年始
アクセス
鉄道:JR小海線野辺山駅より徒歩で約40分
車:中央自動車道須玉IC、小淵沢ICより清里方面へ約30kmまたは上信越自動車道佐久ICより清里方面へ約50km
日本一高いところにある露天風呂「本沢温泉」
野辺山のある南牧村にはもう一つの高地日本一があります。
八ヶ岳連峰硫黄岳直下の2,150mに位置する一軒宿「本沢温泉(ほんざわおんせん)」の露天風呂です。
本沢温泉へは小海線小海駅から町営バスで約40分、徒歩で3時間30分ほどかかります。
また車(タクシー)の場合は、「本沢温泉入口」駐車場に車を置き、徒歩約2時間30分(夏季)。冬季はさらに時間がかかります。
開湯は八ヶ岳が開山された1882年(明治15年)です。
宿は諏訪地方と佐久地方結ぶ旧街道・夏沢峠の宿場として開業され、街道を往来する人たちで賑わっていたといいます。
現在は八ヶ岳登山の山小屋として、また湯治の宿としても親しまれています。
露天風呂の泉質は「含硫黄カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉」[硫化水素型]です。
宿には、内湯もあります。
お湯は乳白色をしたにごり湯で、石ころがゴロゴロした岩場に4から5人ほど入れる混浴露天風呂があります。
通年営業しています。
ちなみに内湯の日本一高所は、富山県の北アルプスみくりが池湖畔にある「みくりが池温泉」で、2,430m地点に内湯があります。
なお、本沢温泉へは徒歩でしか行けません。少なくとも2時間以上の登山になりますので、しっかりした装備が必要です。
「本沢温泉」詳細情報
住所
長野県南佐久郡南牧村海尻 国定公園内
TEL
090-3140-7312
入浴料
1000円
宿泊料金
1泊2食付き1人 10000円~
※通年営業
※宿泊は7月16(土)~10月22日(土)の営業
URL
http://www.yatsu-honzawaonsen.com/
アクセス
- 鉄道
JR小海線小海駅から小海町営バスで約40分、稲子湯(いなごゆ)下車、「みどり池」経由徒歩で約3時間30分
または小海駅からタクシーで本沢温泉入口下車、徒歩で約2時間30分 - 車
上信越自動車道佐久ICまたは中央自動車道須玉ICから国道141号線経由、松原湖入口で松原湖方面へ約3㎞。
本沢林道入口経由で「本沢温泉入口」駐車場に車を置き徒歩約2時間30分(夏季)。
冬季車は「本沢林道入口」まで、徒歩で3時間以上。
まとめ
野辺山には以前「SLランド」というSLに乗れたりするテーマパークがありました。
実際の鉄道ではありませんが、小海線より高いところを走っていたのです。「SLランド」は2018年8月末に閉園になってしまいました。
ご紹介した「本沢温泉」は私も1回だけ行きました。
行き来は大変ですが、温泉と景色はとても素晴らしいですよ。気をつけて行ってください。