周りを海に囲まれ中央に天城山など高い山が聳(そび)える風光明媚な伊豆半島は、どこかフランスのコルシカ島と似ていると思うのは私だけでしょうか?
堂ヶ島を訪れた時はコルシカ島の名勝地ボニファシオに似ていると思いました。
今回は地中海のような太陽と青い海がどこか異国情緒を感じさせる堂ヶ島と、職人技が引き立つなまこ壁で有名な松崎町の魅力をご紹介してまいります。
目次
松崎町
町の概要
「花とロマンの町」をキャッチフレーズとする松崎町は、伊豆半島南西部に位置し、なまこ壁の町並みが西伊豆の小京都の風情を醸す歴史ある町です。
また松崎温泉を初めとする数か所の温泉地の他、桜餅に使われる桜葉の生産が日本一であることでも知られ、名産でもある「桜葉の塩漬け」は「かおり風景100選」に選ばれています。
なまこ壁の町並み
なまこ壁とは日本の伝統的な壁装飾の一つで、壁面に平瓦を並べその継ぎ目に漆喰を盛り付けて塗る工法です。
その形がナマコに似ていることから命名されたそうです。
個人的には別の呼び方がなかったのかな、とは思いますが、白とグレーの配色が伊豆の明るい太陽に映え、エキゾチックな郷愁を誘います。
なまこ壁の町で有名なのは以下の建物です。
伊豆文邸
伊豆文邸は1910年築の元呉服商だった建物で、木造階建て260㎡の延床面積に、帳場や土間などが当時の面影を残し、裏にはなまこ壁造りの土蔵2棟も残されています。
2005年に内部を改装し、町のボランティア活動による管理で、無料休憩所として開放されています。
3月に雛人形、5月に武者飾りなど季節毎の展示が楽しめ、隣接する足湯を設置したりと、
町の努力が感じられる観光スポットです。
明治商家中瀬邸
明治商家 中瀬邸は、呉服商家として財を成した依田直吉の邸宅として1887年に建てられた建物です。
店の屋号が中瀬だったことからこの名がつきました。
贅を尽くした屋内には、良質の木材を使った太い柱や梁、繊細な彫刻金物細工がそのまま残り、蔵の黒漆喰仕上げのなまこ壁は町随一の見所となっています。
1998年には母屋や土蔵など7棟の家屋を町が買取り、現在は母屋を民族資料館として一般公開しています。
当時の道具・調度品や歴史資料の展示、パネルやモニターによる観光案内の他、伝統工芸・漆喰鏝絵の実演もあり、土産や喫茶コーナーなども内設されていますよ。
近藤平三郎生家
アルカロイドの研究で有名な薬学界の権威でもある近藤平三郎の生家は、江戸時代後期に建てられた、外壁がなまこ壁総仕上げの歴史建造物です。
木造2階建てで、切妻、桟瓦葺き、平入といった和風建築と、正面の縦長の上下開閉式窓や玄関周辺の洋風建築など、和洋折衷の様式を取り入れています。
主屋の背後にはなまこ壁の土蔵が複数棟続いています。
松崎町観光協会
レトロな町並みにはレトロな観光案内所が似合います。
松崎町の観光協会は2階の窓にアンティークなステンドグラスがはめ込まれ、外から差し込む光が虹色に輝くロマンチックな空間が広がります。
ここでは観光に関する地図や資料、各種割引券などの案内を取り扱っています。
伊豆の長八美術館
西洋のフレスコ画に双肩する壁画技法を駆使した「漆喰鏝絵」で、高い評価を受けた左官の名工・入江長八の作品50点を展示している美術館です。
左官技術と日本画の狩野派の技術を融合した独自の世界は世界的にも高く評価されています。
またその芸術にひけを取らぬ美術館建設のため、全国から抜粋された有能な左官職人によって建てられた美術館は、「江戸と21世紀を融合した建物」として建築的に注目され、「吉田五十八賞」を受賞しています。
浄感寺長八記念館
引用元:https://chouhachi-mh.izu-westwind.net/
浄土真宗西本願寺の末寺にあたり、上記で登場した長八がここで学問を学んだ寺で、住職への恩返しにと天井に「八方にらみの龍」を描いたそうです。
欄間の「飛天の像」と共に、2011年に静岡県有形文化財に指定されています。
堂ヶ島
フランス在住の筆者が「伊豆は日本のコルシカ島」と勝手に命名する中で、最もコルシカ島らしい風景を見せるのが堂ヶ島です。
伊豆が海底火山だった影響で形成された、白い火山灰層が美しく折り重なる海岸壁の景観はまさに、コルシカ島のボニファシオの絶景岸壁そのものです。
堂ヶ島天窓洞
海食洞と呼ばれる波の浸食作用により、凝灰岩が削られてできた天窓洞は、長さ147mの洞窟です。
1935年に天然記念物に指定されています。
中央は丸く開いて洞窟内に光を通すため、天窓という名前が付けられました。
季節・時間・天候によって水の色が変化する様は神秘的で、イタリアの「青の洞窟」に匹敵する美しさです。
堂ヶ島洞窟巡り
西伊豆のメイン観光と言えば、「伊豆の松島」と言われる堂ヶ島を巡るクルージングです。
本来は海の底に沈む海底火山の断崖を、海上から直接観察できる珍しい地形なのでクルージングはお薦めです。
所用時間はルートによって20〜50分ほどで、以下のルートがあります。
コース | 所要時間 |
---|---|
洞くつめぐり | 20分 |
堂ヶ島クルーズ | 25分 |
ジオサイトクルーズ | 50分 |
千貫門クルーズ | 50分 |
※2022年7月時点では、新型コロナウイルス感染症の影響により、運休しているクルーズがございます。詳しくは公式ホームページをご確認ください。
クルージングで是非見ておきたい主な見所は以下の通りです。
烏帽子山
木花開耶姫命と磐長姫命姉妹の悲しい嫉妬の物語が伝わり、山頂には磐長姫命を祀った雲見浅間神社があります。
千貫門
火山のマグマが冷えてできた柱状節理が積み重なり、波に削られて「門」のように形作られたものです。
その迫力ある姿が千貫の価値があることから、千貫門と名付けられたそうです。
蛇のぼり
マグマが岩石を上昇してできた「岩脈」といわれる痕跡が、まるで大蛇が岩壁を這いあがっているように見えることから名づけられました。
赤壁
「蛇のぼり」の右隣にそびえ立つ高さ270mの岩壁のことで、作家の徳富蘇峰が、中国の名勝「赤壁」にちなんで名を付けたといわれています。
三四郎島
高島・沖ノ瀬島・中ノ島・伝兵衛島からなる4つの島で、見る角度によって島が3~4つに見えることから「三四郎島」と呼ばれています。
干潮時に浅瀬が現れて伝兵衛島と陸地がつながる「トンボロ現象」が有名です。
加山雄三ミュージアム
西伊豆を愛した加山雄三が、愛船の光進丸と共に頻繁に滞在し住民と交流を深めた堂ヶ島に、彼に関する絵画、映画、楽器、秘蔵プライベートフィルムなどを収めた博物館があります。
レストランや土産ショップも充実しているので、若大将ファンは勿論、若大将を知らない若い世代の人でも十分楽しめる娯楽施設です。
まとめ
「西伊豆の小京都」松崎町や、「西伊豆の松島」堂ヶ島など、行ってみたくなるような称号を冠する名勝が多い西伊豆ですが、実際に訪れると期待以上の異国情緒たっぷりの世界が待っています。
実際にコルシカ島を旅した筆者が保証する「西伊豆のボニファシオ」を是非体感してみませんか?
基本情報
住所
〒410-3611
静岡県賀茂郡松崎町松崎211
アクセス
特急踊子号または伊豆急「下田駅」下車 → バスで50分 「松崎町」下車
JR「三島駅」から伊豆箱根鉄道で32分
伊豆箱根鉄道「修善寺駅」からバスで105分
駐車場
あり/無料
住所
〒410-3514 静岡県賀茂郡西伊豆町仁科2910-2
アクセス
特急踊子号または伊豆急「下田駅」下車 → バスで1時間「堂ヶ島」下車
駐車場
あり/無料
住所
〒410-3514 西伊豆町仁科2048-1
アクセス
特急踊子号または伊豆急「下田駅」下車 → バスで1時間「堂ヶ島」下車
駐車場
あり/無料