世界に誇る広島の熊野筆!展示や体験のできる充実した筆工房

広島 #アート #体験工房 #博物館 #芸術
2022.07.15

日本の中でも群を抜いた筆の産地である広島県熊野町は、昔から筆づくりの街として有名です。
中でも化粧筆は海外でも有名で、女優さん御用達の商品として話題を集めていますよ。
そんな熊野筆は、観光客に人気のお土産にもなっています。

熊野町には筆に関するお店がいたる所にあり、現在にも息づく筆文化を肌で感じることができます。

また、畑や田んぼが広がりほのぼのとした田舎の風景にどこか懐かしさを覚えます。
とは言っても広島市街まで近く、アクセスも便利ですよ。

熊野町の筆工房には、充実した筆の展示や各種の体験コーナーがあり、筆体験も楽しむことができます。
緑豊かな自然に囲まれ雰囲気もばっちり、魅力の詰まった筆工房を見ていきましょう。

熊野筆の歴史

熊野の筆づくりの歴史は古く、江戸時代末期頃から始まったとされています。
全国生産量の大部分を占めており、有名な筆の産地として国内で知られています。

また熊野筆は、1975年に旧通商産業大臣(経済産業大臣)より伝統的工芸品の指定も受けており、その品質や技術は確かな物として認識されています。

  熊野の筆づくり

筆というと、思い浮かぶのは書道や絵の具で使う筆が多いかもしれません。しかし、筆一つとっても本当に色々な種類があるんです。

古くから使われてきて、筆づくりの技術や方法が受け継がれている熊野筆。
化粧、うちわ、漆器づくり、ダルマ、絵馬、水墨画など、その種類の多さに驚くでしょう。

日常での筆を使う機会の多さが筆づくりをより盛り上げ、用途に合わせた筆の生産につながっていったのです。

また熊野には、筆づくりに長けた“筆司”という約1,500人もの技術者がいます。
その優れた技術者によって作られた筆は、最高品質のものと言えるでしょう。

筆ができるまで

筆をつくるには、筆づくりの確かな技術が必要です。
熊野筆に関わらず、筆づくりは「穂首づくり工程」と「軸づくり工程」に分かれています。
それぞれの工程で、細やかな手作業が加わり素晴らしい筆ができていくのです。

筆の毛の部分である「穂首づくり工程」は、まずより良い毛質や種類を選ぶところから始まり、毛揃えや芯立て、衣毛巻きを経て、糸締めまで、およそ9工程の作業をこなします。
筆の柄の部分を作る「軸づくり工程は」、軸選びから始まり、軸の調整、磨いてダルマ加工&ダルマ付けの9工程で完成します。

2つの工程の後は、くり込みという技で2つの部品を接着剤で固定して仕上げれば筆の形が出来上がります。
最後に、軸に彫刻で銘を掘り、その部分を顔料で着色する、という細かい技を加えれば、美しく品質高い筆の完成です。

筆の里工房を探検!

筆の里工房は、“熊野筆”を発信していく博物館施設として、1994年に建設されました。
筆の歴史や筆の織り成す文化の展示、時期ごとのイベントギャラリーや筆体験などが開催されています。

筆のさまざまな味わい方ができる筆の里工房にふらりと立ち寄ってみました。

B1F~筆の宇宙

受付を済ますとまず、1Fにある筆のショップやミニシアターを見ることができます。
しかし、筆の里工房のメインステージはここではなく、実はB1Fに降りてからのようで、地下に降りることにしました。

わくわくしながら螺旋階段を降りていくと、ドーンとB1Fの真ん中に何か巨大な物が見えてきます。
これは、ここにしかない“世界一の大筆”です。
ブランと吊り下げられている筆は本当に迫力満点です。
その筆を囲うように円形に並んだ数々の展示物が、筆の歴史を伝えていますよ。

筆司の家

昔の熊野の民家に見立てた“筆司の家”ゾーンです。
実際にどのように筆を作っていたのか、家の中の様子が再現されていて、楽しく見て学ぶことができますよ。

また、実際に筆司の方が筆づくりの実演を行っているため、筆ができるまでの工程を知ることができるでしょう。

ギャラリーホール&ギャラリー(Ⅰ~Ⅳ)

筆にまつわる人物や文化・芸術に関するさまざまな展示を行っているギャラリーは、ホールと細かく分かれたギャラリー(Ⅰ~Ⅳ)に分かれています。

ホールの方ではその時期限定のイベント展示が行われています。
次々と新たな展示が催されているため、見たい展示の時にチェックしておくと良いでしょう。

ギャラリー(Ⅰ~Ⅳ)は常設展示で筆の掛け軸や木村陽山コレクションなどを展示しており、こちらも見応えがありますよ。

木村陽山コレクション

ギャラリーⅠでは“木村陽山コレクション”を展示しています。
京都の書家である木村陽山は、毛筆の研究家・収集家として有名で、毛筆研究の名著「筆」を記した人物でもあります。

他に類を見ないほど熱心な筆の研究家であった陽山は、その熱意から、当時の知識ある新村出などの人物達との交流により、著名な人物の筆を譲り受けることになりました。(西園寺公望・竹内栖鳳・富岡鉄斎など)

またコレクションの中には、熊野筆の源流の有馬筆や日本の近代製筆の発展に功績を残した高木氏の資料もあり、質・量共に世界的にも素晴らしい毛筆コレクションと言えます。

子どもも大人も楽しい筆体験コーナー

筆体験コーナーでは、筆を使ってさまざまな遊びを楽しむことができます。筆づくり体験、和風タペストリー、絵てがみ体験、筆アート缶バッジ、美文字アドバイスなど、普段ではなかなか出会えない体験がたっぷり。

美文字アドバイスでは、美文字職人から筆で名前を美しく書くコツを教えてもらえます。
30分までは無料で参加できますよ。
美文字を書けるようになりたい方は、ぜひ参加されてみてくださいね。

※体験によって参加費用が必要となるものもあります。
※情報は2022年6月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。

筆のアトリエ

筆のアトリエでは、筆の水墨画やイラスト教室など、定期的に行っているものから、1日だけのアート講座もあります。
筆に関するアートな教室を体験できるため、さまざまな講座から芸術や美術のエッセンスを学べますよ。

熊野筆セレクト&ミュージアムショップ

1Fには、熊野筆工房オリジナルの商品があるお土産屋さん「ミュージアムショップ」や、本格的な熊野筆のセレクトショップがあります。
化粧筆から絵の具筆まで、1級品の筆一つひとつに、毛先の細やかさが際立っていますよ。

家族や自分への記念のお土産として、ぜひ筆やお土産を購入してみても良いですね。

テラスデッキ

外のテラスデッキに出ると、見晴らしの良い日には山がくっきり見え、熊野町の緑豊かな自然風景が目の前に広がって見えます。
すぐそばの池や東屋も、自然のアートのようで芸術性たっぷりですよ。

まとめ

熊野の筆の里工房では、日本・世界に誇る素晴らしい熊野筆のことをたくさん知ることができます。
また、工房のさまざまな展示や体験ゾーンが貴重な経験になるだけではなく、芸術性あふれる館内のつくりも見どころです。

天気に関係なく楽しめる施設ですから、ぜひこの梅雨の季節に訪れてみると良いでしょう。

里工房 基本情報

基本情報

住所
〒731-4293
広島県安芸郡熊野町中溝5-17-1

TEL
082-855-3010

開館時間
10:00〜17:00(入館は16:30まで)

休館日
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始 ※臨時休館あり

入館料
大人:800円
小中高生:250円
未就学児:無料

URL
https://fude.or.jp/jp/

※情報は2022年6月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。