石見銀山の発展と共に栄えた山陰の美しい町並み 大森地区・温泉津地区の町並み

島根 #ロケ地 #世界遺産 #温泉
2022.05.27

山陰の世界遺産である石見銀山のふもとに、銀山の発展と共に栄えた古い町並みが2箇所残っており、観光スポットとして注目されています。

一つは武家屋敷などが立ち並ぶ大森地区、もう一つは旅館や町屋が立ち並ぶ港へと続く温泉津地区で、どちらも鄙びた雰囲気が美しい侘び寂びを残す歴史を偲ばせる佇まいです。

古い町並み歩きファンには必見の2つの町並みをご紹介してまいります。

石見銀山の歴史

鎌倉末期に石見国(現在の大田市)に銀が発見され、大内氏により銀山として発展し、16世紀のポルトガル・オランダとの交易により世界へと市場が広がりました。
かつては世界の3分の1の銀を産出した日本でも、重要な銀山として栄えた石見銀山と周辺の遺跡施設は、2007年に世界遺産に登録されています。

大森の町並み 歴史と変遷

世界遺産でもある石見銀山遺跡の一つで、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
銀山川沿いの谷間に伸びる約2.8kmの旧道には、大森代官所跡、郷宿, 武家屋敷、商家などが現存し、背後の山裾には古社・古寺や墓地、石切り場などがあり, 鉱山町の歴史を伝える伝統的な景観を楽しめます。

大森の町並みは様々なドラマや映画のロケが行われており、2003年には映画「アイ・ラブ・ピース」のロケで使われました。
私達が訪れた時は小雨模様だったのですが、雨景色の町並みもまた風情があって横溝映画などに打ってつけと感じました。

大森の町並み 見所

城上神社

大森の氏神を祀って1434年に大内氏によって遷座され、銀山の発展を願った毛利氏が1577年現在の場所に移転しました。

拝殿の鏡天井に描かれた「鳴き龍」の下で手を叩くと、「リーンリーン」という不思議な音が聞こえます。

熊谷家住宅

当時天領だった銀山を管理する幕府の役人が、多くこの通りに居を構えていましたが、中でも最大なのが1801年に建てられた熊谷家の旧家です。
1500㎡の敷地内に700㎡ある主屋と5つの蔵と納屋があります。母屋には30室以上部屋があり、総漆喰塗の内部や火災に備えて作られた地下蔵など見所満載です。

羅漢寺・五百羅漢

羅漢寺は高野山真言宗の寺院で、銀山で亡くなった坑夫と先祖の霊を弔うため、1766年住職が大森町に五百羅漢を造営しました。
25年の歳月をかけて500体の羅漢像が造られ、2つの石窟に安置されています。
それぞれ表情の異なる羅漢像の他、天井画の双竜、福光石を使った石返り橋、名水「三百水」の湧水なども必見です。

お薦めのグルメ・食事処

うめの店

代官所前の広場近くにある、町並みに溶け込む民家のランチ&カフェです。日本海の魚料理が自慢の日替わり定食やオムライスなどの洋食まで、幅広いメニューを用意しています。

御前そば

築100年の古民家を改装した蕎麦屋で、羅漢寺の名水で打つ蕎麦が自慢の名店です。出雲名物の「割子そば」や三瓶山の名物「三瓶そば」など、四季折々のメニューが楽しめます。

銀の里 渡辺家 咄々庵

代官所の元役人の私邸を武家屋敷として復元し、国の指定史跡に登録されているお店です。地元の食材を使った目にも美しい会席料理の他、地酒やワインのリストも豊富です。

※2022年4月時点でこのお店は閉業しています。

温泉津地区の町並み 歴史と変遷

石見銀山から運ばれる銀の積み出し港として、また銀山で働く人々の物資供給基地として栄えた港町です。

温泉津(ゆのつ)はその名の通り温泉が湧き出ており、町にある共同浴場では銀山で働く人達を癒していたようです。
近世の町割りを今に残す温泉津沖泊道は宿場町として栄え、江戸末期に建てられた廻船問屋などの町屋や、代官や大名もよく利用した温泉旅館などが800mに渡って軒を連ね、レトロな雰囲気を残しています。

大森の町並みと同様、2004年に国の伝統的建造物群保存地区に指定され、2007年に「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として世界遺産に登録されています。

温泉津地区の町並み 見所

温泉

町の開湯は1300年前に大狸が入湯しているところを発見したことに由来するそうです。
町には2つの共同浴場があり、入浴の他飲泉も効果があります。

薬師湯

1872年の浜田地震によって湧き出た温泉で、日本温泉協会の審査では2005年に最高評価の天然温泉として認定されています。
日本屈指の泉質と効能から万病に効くと評判の温泉はレトロな外観で、屋上テラスでは無料のコーヒーがいただけます。

温泉津温泉元湯 泉薬湯

1300年前の開湯時からの源泉が使われ、薬効のある湯治湯として人気があります。
元湯直営の旅館から通うスタイルの共同浴場になっています。

やきものの里

歴史

港に隣接する松山地区は登り窯に適した急傾斜で、良質な陶土や釉薬も産出され、江戸時代には3窯が開かれました。
ここで造られたやきものは温泉津焼として知られ「水がめ」などが全国に運ばれました。

現在は、河井寛次郎氏の流れを汲む3窯が伝統を受け継いでいます。

登り窯

複数の窯が階段状に連なったもので、やきものの里には日本最大級と言われる長さ20m、10段の巨大な登り窯が2基残っています。
年2回開催される「やきもの祭」では、登り窯に昔と同じ手法で炎が入る様子を見学できます。
映画「男はつらいよ〜寅次郎恋やつれ」にも登場しています。

やきもの館と体験

登り窯に隣接する展示施設で、歴史や作品の展示の他、手ひねりや絵付けの陶芸体験も楽しめます。

お薦めの温泉宿

精雲荘

温泉津温泉で唯一の露天風呂があり、中庭を挟んで離れの客室があります。
「甍の湯」「森の湯」の2種類の温泉の他、家族風呂もあり、内湯は天然かけ流しです。
料理は日本海の新鮮な魚料理、島根和牛のステーキなど、創作懐石料理が中心です。

のがわや旅館

1912年に創業した100年以上の歴史を持つ老舗旅館で、岩風呂・石風呂・無料の貸切風呂など、源泉かけ流しの3つの天然温泉が楽しめます。
地元の旬の食材を使った四季懐石料理が自慢です。

ますや旅館

かつて廻船問屋だった木造3階建ての建物で、1910年旅館として開業しました。
地元の漁師が釣ってくる魚を使った会席料理が部屋出しで提供されます。

まとめ

世界遺産の文化を継承する歴史ある町並みには、その時代を生きた人々の息使いが感じられます。
かつての繁栄と活気を偲びつつ鄙びた通りを歩いていると、時代をタイムスリップしたような不思議な感覚にとらわれます。

山陰の古い町並みを散策して、どこか懐かしい郷愁に誘われてみませんか?

基本情報

大森の町並み 基本情報

住所
〒694-0305
島根県大田市大森町

アクセス
JR山陰本線大田市駅からバスで30分

駐車場
無料・有料有り

公式サイト
http://www.ginzan-wm.jp/

※情報は2022年4月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。

温泉津地区 基本情報

住所
〒699-2501島根県大田市温泉津町温泉津

アクセス
JR温泉津駅からバス温泉津線で5分「温泉津温泉口」下車

駐車場
あり(7台/温泉津温泉観光案内所駐車場)

公式サイト
https://www2.crosstalk.or.jp/yunotsu/

※情報は2022年4月時点のものです。最新情報はホームページをご参照ください。