いにしえの東京を多摩から知ろう!

東京 #博物館 #穴場スポット #遺跡
2022.02.16

多摩ニュータウンの造成時、多くの遺跡や考古学的遺物が発見されました。多摩川右岸の多摩丘陵は歴史的・考古学的遺物の宝庫だったのです。
そんな貴重な資料を集めて展示しているのが、東京都埋蔵文化財センターです。ここには多摩丘陵から出土した数多くの貴重な遺物の他、伊達藩上屋敷の調査・発掘で発見された江戸時代の様々な文物があり、更に古代人の生活を「体験」できるコーナーが設けられています。
まさに博物館の「穴場」と言うべき充実ぶりをご紹介します。

あなたはご存じですか? 東京の歴史は遥か先史時代からずっと続いていることを。

そして、多摩川の両岸は日本の古代文明の中心地だったことを。

多摩ニュータウンの建設工事中に発掘された縄文時代の遺跡(多摩ニュータウンNo.57遺跡)の隣に建設された「東京都立埋蔵文化財調査センター」は、都市開発によって失われつつある歴史的遺産や考古学的遺物を記録・保護するための施設で、東京都内で発見された多くの埋蔵文化財を記録し、また可能な限り管理しています。

館内の展示コーナーは小さなスペースですが、その充実ぶりは素晴らしいので、東京の歴史や考古学に興味のある方には是非お勧めしたい施設です。特に、お子さんに歴史に対する興味を持ってほしい親御さんは注目してください

多摩ニュータウンは遺跡の上に

縄文時代初期の遺跡の大多数は、千葉県をはじめとする関東地方で発見されています。

あまり知られていないことですが

縄文時代初期の遺跡の大多数は、千葉県をはじめとする関東地方で発見されています。

多摩川両岸の地形を詳細に調べると、思いのほか広大な河岸段丘が広がっていることがわかります。また、荏原台古墳群など周辺の古墳群の規模からは、古代この地域が多摩川の恩恵を受け、たいへん繁栄していたことがわかります。先史時代の多摩川は現在より遥かに川幅が広い大きな川で、古代の人々の生活を豊かにする恵みの川でした。

そんな多摩川の中流域、多摩丘陵に建設されたのが多摩ニュータウンです。しかしこのニュータウンの建設中、一千ケ所近くの縄文遺跡と無数の遺物が発見されました。中でも最古の遺跡は約3万年前、縄文時代より更に古い旧石器時代のものとされています。多摩丘陵もまた、古代から多摩川の恩恵を受けて繁栄した古代文明の中心地だったのです。

埋蔵文化財の行方

これらの「埋蔵文化財」は貴重な人類の遺産ですが、すべての遺跡を完全な状態で保護したら現代の人々の生活にも支障が出てしまいます。そこで、多摩ニュータウンの遺跡や遺物を可能な限り保護し、また、やむなく破壊される遺跡の記録や出土物の保護を行なう目的で設立されたのが「東京都立埋蔵文化財調査センター」です。

センターはその後、多摩地区以外でも都内の多くの遺跡の発掘調査を行ない、多くの貴重な遺物や発掘記録を保存しています。その中でも屈指の遺物や記録が展示されているのが、同センターの展示室です。

充実の展示内容

遺跡と遺物から見る縄文時代の多摩

センターがある場所はまさに多摩ニュータウンの建設中に発見された遺跡「多摩ニュータウンNo.57遺跡」のお隣です。遺跡が発見された場所は現在、遺跡を埋め戻して保存した上に、遺跡庭園「縄文の村」が建設されています。センターが管理するこの庭園は復元された縄文時代の住居を中心に、縄文人の生活の糧となっていた植物が植えられ、まさに蘇った縄文ワールドです。復元住居には自由に入ることができます。また、火おこし体験・縄文式土器の野焼き、縄文食体験などのイベントも定期的に行なわれています。

一方館内には、発掘された土器や石器などの遺物が数多く展示されており、また、No.57遺跡で発見された狩猟用の落とし穴の復元模型などを見ることができます。その展示物の量と質は圧巻で、縄文時代の始まりから終わりまで、更には遥か江戸時代までの遺物が時系列的に展示されているので、古代の人々が使っていた日用品の様式の変遷を知ることができます。

よみがえる江戸風俗

センターが発掘調査しているのは多摩地区の遺跡だけではありません。島しょ部を含む都内の多くの遺跡を発掘・調査し、その貴重な記録を遺物と文献で記録しています。

中でも市ヶ谷の尾張藩上屋敷跡で発掘されたものを中心とする江戸時代の遺物は出色です。江戸時代の人々が日常的に使用していた生活雑貨の数々は、当時の人々の生活・風俗を手に取るように教えてくれます。

体験型展示で知る古代人ライフ

上記「縄文の村」の体験型イベントだけでなく、館内の常設展示にも、縄文式土器の模様づけ体験、籠編み体験など、さまざまの体験型展示が用意されています。2022年2月現在では新型コロナ感染症対策のため休止されていますが、本来は本物の縄文式土器に触れたり縄文人の衣装を身に着けるといった貴重な体験もすることができるのです。

基本情報

東京都立埋蔵文化財調査センター
〒206-0033 東京都多摩市落合1丁目14−2
京王電鉄相模原線 京王多摩センター駅 下車約3分
小田急電鉄多摩線 小田急多摩センター駅 下車約3分
多摩都市モノレール線 多摩センター駅 下車約4分
中央自動車道国立府中ICより約8km

開館時間(2022年1月現在)
9:30~17:00
縄文の村
9:30~17:00、11月から2月は9:30~16:30

原則として年末年始を除き通年開館しています。ただし、展示替えなどによる臨時休館があるので事前の確認をお勧めします。

TEL 042-373-5296

HP  https://www.tef.or.jp/maibun/index.jsp

まとめ~体験して、楽しんでください

小さな施設ですが、その圧倒的な充実ぶりは感じていただけたかと思います。

考古学や歴史が好きな方はもちろんですが、特に興味のない方でも充分に楽しめます。中でも体験型展示は、遠方からでも足を延ばして訪れる価値があります。

多摩センターにはサンリオ・ピューロランドもあるので、特に親子連れの方はセットで訪れることを計画してみてはいかがでしょうか?