寅年は寅のお寺 信貴山朝護孫子寺へ

奈良 #ハイキング # #白蛇
2022.02.10

信貴山朝護孫子寺と聞いて、「あのお寺か」とピンと来られる方は少ないと思いますが、古文好きの方なら聞いたことのある説話の舞台です。
お寺と言っても、葬儀を行い檀家がいるお寺とは違い、祈祷のみをするお寺です。歴史は古く聖徳太子の時代まで遡りますが、その時代から祈祷のみでお寺の経営が成り立つのですから、いかに霊験あらたかな霊場であるかが分かりますね。
そんな信貴山朝護孫子寺の魅力を分かりやすくお伝えします。

なぜ寅年は信貴山朝護孫子寺なの?

聖徳太子が蘇我馬子と共に、物部守屋を攻める際、聖徳太子がこの地で戦勝祈念していたところ、寅の年、寅の日、寅の刻に毘沙門天が現れ、聖徳太子を勝利に導きました。その加護に感謝し、聖徳太子は自ら刻んだ毘沙門天を本尊として当寺を創建し、「信ずべき貴ぶべき山(信貴山)」と名付けたとされています。そのため、信貴山朝護孫子寺(しぎさん ちょうごそんしじ)は寅にゆかりのあるお寺となりました。

山門をくぐり道なりに進むと、巨大な張子の虎があります。また、境内にはお金を加えた寅の石像や寅の口から入る胎内めぐりもがあります。毎月1日と3日は寅の縁日で、特に縁起が良いとされています。

今年は令和初の寅年のため、特別に寅の御朱印帳も販売されます。また、五黄色の寅年にあたり、とても金運が上がる有難い年で、今年を逃すと次は36年後です。まさにお詣りするなら、今年なのです。

信貴山朝護孫子寺はどこにあるの?

信貴山朝護孫子寺は奈良県生駒郡で、法隆寺から車で1時間程度の山中にあります。今から1,400年程前の昔の聖徳太子が、馬で広範囲に移動していたのですから驚きですよね。

信貴山朝護孫子寺の境内には聖徳太子像が安置してあります。その隣には、樹齢1,500年の御神木を祀る、かやの木稲荷神社があります。飛鳥・奈良時代を肌で感じることのできる貴重なお寺です。

説話: 山崎長者の巻 (飛び倉の巻)「空鉢護法堂」(くうはつごほうどう)

信濃国出身の命蓮は東大寺で授戒してから信貴山に籠り、毘沙門天像を安置した小堂を建てて修業に励みます。命蓮は長者の家に鉢を飛ばして布施を受けていましたが、それを疎ましく思った長者は、その鉢を米倉の中に鍵をかけて閉じ込めてしまいます。しばらくしますと、その倉がゆさゆさと揺れ、中から鉢が出てきて、倉を載せて飛び立ちます。
引用元:WORD-WISE WEB

筆者は子供の頃この説話を読みましたが、国宝「信貴山縁起絵巻」の第1部に書かれています。その舞台が信貴山であり、境内に空鉢護法堂があり一願成就の御利益があるとされています。この空鉢護法堂に行くには山を登って行かないといけません。その周辺には、豊臣秀吉が建てたとも、秀頼が建てたとも言われる信貴山城址があります。

ちなみに、「信貴山縁起絵巻」の第2部には、なぜ醍醐天皇から朝護孫子寺という名前を賜ったのかが書かれています。興味のある方は、ぜひ「信貴山縁起絵巻」をお読みください。

白蛇を祀る山頂

山に登る前に本堂にある容器に水を汲み山頂にあがり、用意されているバケツに水を写します。山頂からは大和平野だけでなく、晴れた日には遠くの奈良盆地も一望できます。毘沙門天王の眷属、八大龍王の上首・難陀龍王をお祀りされ、龍王の化身とされる白蛇がいます。山頂には十社程度の神社が建てられ、お神酒をお供えしたり、白蛇に生卵の餌付けをしたりできます。また、脱皮した白蛇の皮を巳入り(実入り)の御守として販売されています。山頂は金運のパワースポットとしても有名です。

ハイキングとしても楽しい信貴山朝護孫子寺

信貴山朝護孫子寺を中心に右手の山道を進むと奥の院に、中央の山道を進むと空鉢護法堂に、左手の山道を進むと弁財天の滝に行きます。友達とハイキングしても楽しいですし、信貴山朝護孫子寺は真言宗のお寺なので、自分自身を見つめ直すために弘法大師と同行二人されても貴重な時間となります。

3つの宿坊

信貴山朝護孫子寺には、玉蔵院、成福院、千手院の3つの宿坊があります。コロナ前は、日本人宿泊者よりも外国人観光客が多いような印象を受けました。信貴山朝護孫子寺が山の中にあるので、都会の喧騒から離れ、心安らぐ空間となっています。宿泊者は早朝の護摩祈祷の見学ができます。 護摩祈禱は自由参加です。信貴山朝護孫子寺周辺の散歩を楽しまれる方もおられます。

また、写経・写仏・阿息観・作務などができる僧・尼僧体験があり、日帰り、宿泊から選べます。宿泊の場合は早朝の護摩祈祷が加わります。

毘沙門天を祀る本堂

本堂もある生物の彫刻で飾られています。ヒントは毘沙門天です。答えは百足(むかで)です。通常の宿泊者で、前日に祈祷を申し込んだ人は、早朝の護摩祈祷の後に、本堂に移動して個人の祈祷をしてもらえます。真言宗特有の数人の僧侶が激しく読経をするスタイルです。その後、本堂の戒壇めぐりができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?寅年の今年、信貴山朝護孫子寺にお詣りしてご縁を結ばれてはいかがでしょうか?